前半をまだ読んでいない方は、まず前半部分をお読みいただければと思います。


2013年1月、日経株価は大きく動き出していました。

僕は、取り憑かれたかのように、東電株に夢中でした。

3月下旬、200円前後で推移していた東電株が突然動意づきました。
4日連続10%以上の上昇。
4月中旬には450円になっていました。

その時の東電株は出来高も毎日市場トップでした。

半年前に株を始めた初心者が、一点集中した銘柄がアベノミクスの人気銘柄になったのです。
僕は大いに株に対して自信を持ちました。
と同時に自分のこのアイデアは完璧だと確信しました。

東電株はここからさらに上がる。
少なくとも事故前の2000円の半額には戻るだろうと根拠のない考えが頭を支配しました。

この考えが完璧なのであれば、今現物株だけで運用しておくのはもったいない。
信用買いを加えるべきだと思い、信用口座を開設しました。
開設したその日に信用で2倍まで買い増しました。

4月、アベノミクスという言葉と共に、テレビでも大きく報道され、狂ったように日経平均は連日上昇していました。 

そんなある日、井中先輩から電話がありました。


「東電株、俺も買いたい。」


パチンコとキャバクラに明け暮れていた先輩がいよいよ黒田バズーカによって株に目覚めました。

僕と井中先輩はその日から株の話題で夢中になりました。

東電株は一旦の調整後、アベノミクスの追い風と共に5月14日より再び猛烈な上昇を開始しました。

5月13日 450円 
5月14日 520円 +15.5% 
5月16日 612円 +17.7%
5月17日 626円   +2.2%
5月20日 725円 +15.8%

たった1週間で株価は約2倍に。

僕は、初めて1万円の高級寿司に。
井中先輩は、いつもの神田のキャバクラで初めて同伴出勤をしました。

そして、5月21日、
朝から寄らず、前日比11%高の始値807円をつけました。
半年前100万以下だった僕の資産は約800万ほどになってました。

もはや仕事どころではない2人。

カイジ流に言うならば、
桃源郷を彷徨うが如くの圧倒的至福っ…!


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突然大きな声オフィスに響きわたりました。


「早くその株売ったほうがいいです!」


カンさんでした。

「ボリンジャー3シグマいってるじゃない!RSIも100。これ十時線になるよ!」

日本語もわからず株も詳しくない思ってたカンさん。
専門用語を混ぜて話してきました。
無口のはずが、いきなり悟空の場所を話始めた人造人間16号のようです。

聞けばカンさん韓国で信用取引をし株取引で大損。二度とやらないと決めたという。その時に詳しく株を勉強したそう。

でもそんなこと東電爆上げボーイズの僕らの耳には届きません。
アベノミクスの中心にいる東電株が落ちる訳はない。強く反論しました。

カンさんは、残念そうな顔をして仕事に戻りました。

800円に到達したその日をピークに東電株は下がりはじめました。
そして5月23日、日経平均も暴落。

日々減っていく含み益。
動揺する僕と井中先輩。
ただ僕の心には、根拠のない自信が灯っていました。必ず戻る。
東電株は、1000円になるんだ!と。

ふと横を見ると

井中先輩は無言で、成行で売ってました。

その後東電株は、800円を奪還することなく、長期下降トレンドに。

結局僕の心も折れ、約1年後に400円前後で全て売却しました。
資産としては当初に比べ300万になりましたが、気持ちは完全に負けていました。

なぜあの時利確出来なかったのだろうと。
自分の信念は、なんの根拠もないただの思い込みだったのだと悟りました。

東電株の800円は、10年に1度の上昇相場と交わり、人々の熱狂とともに、祭り上げられファンダメンタルズとは一切関係のない虚像の数字。

それが自分が描いたストーリーと、偶然にも一致しただけだったのです。。。

以上
僕が初めて購入した銘柄 東電株の思い出でした。

ここから学ぶことは、3つありました。

①井中先輩の株購入
先輩は最初から株に興味はありませんでした。
4月メディアが大きく株の上昇を取り上げ、儲かるなら株をやりたいということで
入ってきたのです。
この時点で旨味はほとんどありません。
ニューヨークの靴磨きの少年のように、
興味のない人が株を始める=相場の天井が近い
良く分からないOLが儲かっているニュースを見たら本当に注意が必要と思っています。

②カンさんのアドバイス
僕は今でもあの時、あの声を聞いておけばと後悔しています。
今、振り返ってみるとどう考えても過熱しており少なくとも一部利確が正しい選択でした。
上昇している時ほど周りが見えなくなる。
その時ほど冷静になろうと。

③信念とは紙一重
僕は性格的に思い込みが激しいタイプです。
ホールド力が高まり、大きく利益を引っ張ることができる反面失敗に気づかないと大きく損失を出す可能性があります。

常に自分の信念に対して、この考えが本当に正しいのかという自問自答を繰り返し、冷静と情熱のあいだを保とうと心掛けています

現在、東電株は300円。
東電株は復活し、1000円に到達するという僕が描いたストーリーは、外れていたわけです。